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「もしかして、若くして部長にまでなった先輩への逆恨み?」
「多分それが1番妥当だろうな。あんなミス続けば降格されるのも時間の問題になるし。犬塚は仕事の力量はすげぇある。俺も尊敬してるしな。けど、昔から上への執着が凄かった。異常なほどな…。」
そう言って少し遠い目をしている先輩。
きっと昔の事を思い出しているんだろう。
でも……でもっ!
「そんなのおかしい!自分の実力が先輩に劣ったから今の立場があるのにそれを逆恨みなんて誠実でも向上心が強いわけでもない!そんなの……ただの弱虫じゃねぇかっ!」
そうだ!
同期である先輩に負けたからって向上心が無くなるはずねぇよ。
本当に上を目指しているのであれば、恨みはしても仕事に対して人に迷惑をかけてる時点でクズだ!
そんなことしても何にもならない。
それでのし上がれたとしても、自分の実力じゃない。
「……お前の言う通りだよ。あいつのやってる事は何にもならない。自分を苦しめてるだけなんだよな。」
「すみません。つい、カッとなって…。」
しんみり言う先輩の言葉に冷静になる。
「いや。その通りだ。……あーっ!どうしたもんかな。」
テーブルに両肘を付いて顔を覆う先輩は、凄く落ち込んでいるように見える。
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