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み、も、り、う、ん。
「そう、貴様の戸籍上の名だ。つまり藤子夫人はこう言いたかった。『息子が人殺しになってごめんなさい。きっと此乃子に迷惑をかけるでしょう。だけど、最後にこれだけは言わせて。あなたに伝えたい言葉。三森運。彼が犯人だ』」
「……」
「たいした女性だ。ダブルミーニングをかけられるトリックも然り、文学知識も然り。尊敬に値するよ」
女は一瞬寂しそうな顔をしたが、すぐに俺をにらみつけた。
「何も知らない運を警察に突き出すことはできなかった。だから貴様が出てくるまで時間稼ぎをしたのだ。一冊ずつ本を要求し、しかも運が行っている間に、近い図書館の蔵書は電話予約で差し押さえ、運には遠方まで足を運ばせた。大変だったのだぞ、実家の使用人の図書館利用番号をフルに使ったのだからな」
面倒だ。こいつも殺してしまおう。
俺は女を押し倒すと、その首に手をかけて力を入れた。女は一瞬苦しそうにしたが、なぜかにやりと笑った。何だ。
刹那、隣に控えていた執事が俺に肉薄し、あっというまに俺をねじ伏せた。
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