MUGENの月

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 両方あるのじゃない?   一方に決めつけないことがいいのかも。  そうナツミが言うと、死んでいた時計が、鈴のような音をかき鳴らせて、生き生きと蘇った。  僕が気が付くのが遅かったのか、腕にはめていた時計の文字盤に、数字の表記が消し去られていた。  僕たちは、時間の生と死の対比を垣間見たんだね。  今度はどこへ行く? 別の法則の二項対立を見る旅なんだわ。  二項対立。それだけ?  わたしたちの知っていることって、ほんの一握りのことでしょうね。  知っても、知っても、きりがない気がするよ。  それはあっているかも。  世界はどうしょうもなく、無尽蔵よ。  そうであるから、僕らは救われているように思うけれど。  無限だけは無限にある、といいうことかな。    ー終わりー
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