MUGENの月

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 なにもすることがない日曜日。ぼくは空を見上げる。  大きな白い雲。  山のほうへクルマを走らせたくなった。夏が近い。クリケットの鳴き声がわずらわしく、蒸し暑さを連れてくるのを、今年も予感した。  ナツミのケイタイに電話を入れると、すぐに同行してくれると返事があった。  やっぱりナツミと一緒だと、空の輝きも鮮やかだ。登りのハイウエイは一本でも、  僕たちは大きな海を自由に泳ぐ魚だ。なににもとらわれない。  僕らの見ている世界は、自由という時空間。  小惑星が近づくように、大きな海底の岩が僕とナツミの間を、割って裂く。  けれどそのすぐ先は、また同じ道を泳いでいる。
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