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ドアを開けて入って来たのは、
心配そうに俯く加賀美ちゃん。
『あの…あたしのせいで…
ご迷惑をお掛けしてすみませんでしたっ…』
目を潤ませながら言う彼女に、
『ごめんね、加賀美ちゃん…。
接客する前に声かけようと
思ったんだけど、
あの人は、元々この店のクレーマーなのよ
名前は菅野翠。今までも過去に
何度もクレームを入れてきて、
何年か振りに今日、来店してきたの。
あたしの方こそ伝えてなくて
ごめんね、クレームの件は
大丈夫だから。門崎チーフが
ちゃんと対応してくれたのよ。』
あたしが、そう言うと…
『え?…門崎チーフが?』
と驚いている彼女。
そして隣には相変わらず
クールな人見知り男。
ま、驚くのも仕方ないわね、
こんな無愛想でクールな門崎チーフが
クレーム対応だなんて。
でも逆に、この彼の性格だから
対応できたのかもしれない。
なんて、ちょっと偉そうに
上から分析してみた。
『そうなの、あたしは売り場責任者でも
“女”だったから、クレーマーには
説得力がなかったみたいで…
門崎チーフが代わってくれたの』
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