第4章

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ドアを開けて入って来たのは、 心配そうに俯く加賀美ちゃん。 『あの…あたしのせいで… ご迷惑をお掛けしてすみませんでしたっ…』 目を潤ませながら言う彼女に、 『ごめんね、加賀美ちゃん…。 接客する前に声かけようと 思ったんだけど、 あの人は、元々この店のクレーマーなのよ 名前は菅野翠。今までも過去に 何度もクレームを入れてきて、 何年か振りに今日、来店してきたの。 あたしの方こそ伝えてなくて ごめんね、クレームの件は 大丈夫だから。門崎チーフが ちゃんと対応してくれたのよ。』 あたしが、そう言うと… 『え?…門崎チーフが?』 と驚いている彼女。 そして隣には相変わらず  クールな人見知り男。 ま、驚くのも仕方ないわね、 こんな無愛想でクールな門崎チーフが クレーム対応だなんて。 でも逆に、この彼の性格だから 対応できたのかもしれない。 なんて、ちょっと偉そうに 上から分析してみた。 『そうなの、あたしは売り場責任者でも “女”だったから、クレーマーには 説得力がなかったみたいで… 門崎チーフが代わってくれたの』
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