第6章

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そして彼は驚いた様子で、 目を大きく見開く。 『えっ?………あ、あぁ。』 そう言って、フロアで彼を待つ 家族の元へ走って行った… わかっていたけど…辛い。 今日ココに春都さんの家族が来たことも、 彼の反応も。 今日はもう売り場に出るのは辞めよう。 思いっきり公私混同してるけど… 明日からの準備もあるし… そう思って6Bをあとにして、 売り場へ戻り、社員にバックヤードで 仕事することを伝える。 すると後から 『結月チーフ』と声を掛けられて 振り向けば新川バイヤー。 『はい。』 あたしがそう返事をすると 『ちょっと外に出て来る、すぐ戻るから』 そう言って彼が振り向けば、 その後ろには嬉しそうに笑う男の子。 男の子を挟んで、奥さんが居て… 3人並んで歩くのを見ていると これがホントの彼の姿なんだなぁと 思うと同時に、 今まで自分がしてきたことの罪悪感と 家族には勝てない自分の立ち位置を 思いっきり突き付けられたようで… あたしは急いでバックヤードに戻り、 6Cに駆け込んだ。
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