第10章

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みのりのマンションに着いて インターホンを押すと 直ぐに彼女は出てきてくれた。 ニコリとほほ笑み “おつかれさまです” そう言った彼女が 愛しくて…、咄嗟に抱きしめた。 彼女に言ってしまいたい。 俺は結婚なんてしないし、  子供だって、俺の子ではないと…。 全て山川にはめられた事だと。 …だけど、あんな事を言った後で 今更、あれは嘘だと言っても 彼女に信じてもらえるのだろうか… ただの言い訳にしか聞こえないと 思われないだろうか… 『春都さん…すき。』 彼女の、俺を見る目が不安そうに… そして、潤んでいる。 こんな顔をさせたいわけじゃないのに… だけど今はまだ黙っていることしか できなくて… とてもじゃないけど、…言えない。 ただひとつ、言えるとすれば… 終わるんだ――― いつかは。 この、表向きは“不倫”という関係が。 そしたらちゃんと話すから…. それまで、待っていてほしい。 そう、みのりはずっと俺の側に居ると 信じてる。 『みのり、愛してる。 いつか…、いつか終わるから、 それまで待ってて_______。』
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