第13章

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マンションの部屋に戻り、 真っ暗な部屋に灯りをつける。 大きなキャリーバッグの脇に しゃがみ込むと、寄り掛かる部屋のドアは あたしの体温を奪っていく____ 2週間の海外出張を終えて 久しぶりに帰ってきた自分の部屋 当然だけど、何も変わっていない あたしは、両手で頭を抱え込み 数時間前の光景を思い出す______ そして、こぼれ落ちる涙を 拭うことさえもできずに ただ、止むことのない、この涙を 静かに――― 流し続けた。
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