第16章

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多分… ていうか絶対、 あたしに聞きたいことだらけだよね? 春都さん…。 優斗とのこととか絶対気になってるはず。 あたしだって話したい事いっぱいあるの 聞きたい事だってある。 だけど今、そんな思考回路は とっくに止まる寸前でいて、 体に力が入らない。 ダメだ、―――寝る。 『みのり、着替えてベッドで寝ないと…』 『ん…。』 その時、ふわりと体が浮いたように 抱き上げられたのがわかる。 そして、ゆっくりとベッドの上に 降ろされた。 『俺、まだ居るから。とりあえず寝て。 ゆっくり休むんだよ。』 そう言って春都さんはあたしの 頬を優しく撫でて、 部屋を出ていこうとする。 『…ねぇ春都さん』 あたしは、無意識に春都さんを 呼び止める。 『うん?』 そう言って振り返る春都さんに 『あたし… 優斗と別れるから。 だから…その…』 …待っててくれますか? 『……わかった。 今度は俺が…待ってるから。 愛してる。』 そう言って、いつの間にかあたしの 側に来ていた春都さんは おでこにキスをしてくれた。 ちゃんと言わなくても伝わる。 春都さんは… わかってくれてる。 だから… ちゃんと別れなきゃ、優斗と。 そしてあたしは朦朧とする意識の中、 やっと眠りについた。  
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