93人が本棚に入れています
本棚に追加
春都さんは、ゆっくりとあたしに
歩み寄り、優しく抱き締めてくれた。
『本当だよもう… 。苦しくて辛くて
こんなに好きなのに春都さんには
帰る場所があるのかと思うと…
あたしは、どうする事も出来なくて…
…だけどあたしだって
離れたくなかったからずっと、ずっと…
何も言わずに耐えてきたの…。
だけどごめんなさい…。
浮気したのは…… あたしの方だったね。』
あたしは泣きながら言葉を吐き出す。
そして一旦、春都さんから離れると
『優斗の優しさに… あたしは……
甘えてしまったの…。
…春都さん、見たんでしょ?
あたしが優斗と…キスしたところ。
あの日、会社に春都さんの奥さんと
子どもが来たと思ってたの…。
次の日には出張に行かなきゃいけなくて
これが現実なんだというショックと、
この先の不安でいっぱいいっぱいだった。
だから…、気持ちを誤魔化すように
あたしは………。』
身振り手振りで、あの時の話をする自分。
どうしてこのタイミングで話すのかは
わからないけど、でも…きっと
お互いわかっていたとしてもこれは
話さなきゃいけないことだと思うから…
最初のコメントを投稿しよう!