第20章(最終章~)

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料理を運び終え、あたしと母も加わり 和室のテーブルを囲む。 テーブルの上には母手作りの料理の数々。 それを少しずつ摘みながら 父が声を掛けてきた。 『みのり、春都君にビール飲ませても いいか? 帰りはみのりが運転して帰れば いいじゃないか。』 そう言って上機嫌な父。 父は母とは違い、昔から優しかった。 それはきっと、仕事仕事の毎日で たまにしか、ゆっくり会うことが できなかったからだと思う。 だからか、あたしは小さいながらに 気を遣い、父を困らせたことは なかったと思う。 『あたしは‥別にいいんだけど…』 そう言って、隣にいる春都さんを 見上げる。 『いや、お義父さんすみません。 今日は、僕が運転して帰ります。 明後日、みのりより一足先にNYに行くので せめて今、一緒にいる間は 彼女の前ではちゃんとしていたくて‥ だから、すみません。 次回には是非、ご一緒させてください。』 そう言うと春都さんは今日何度目に なるのか、頭を下げている。 『そうか…… 残念だけども、、、みのり、 良かったなぁ、春都君に出会えて。』 そう言って、微笑む父。 それに続いて 『みのり、あなたもNYに行くの? 大丈夫だとは思うけど… くれぐれも気を付けて、 ちゃんと春都君の事、支えてあげるのよ』 そう言って母も、微笑む。
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