第20章(最終章~)

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春都さんは、優しく微笑んで頷いてくれた 『お父さん、ありがとう。 大切に使わせて頂きます。』 ―――――――――――― ―――――――――――――― ―――――――――――――――― それから少しして、 明日も仕事のあたし達は 実家を後にした。 帰りの車中、春都さんの運転する姿を 見ながらあたしは言う。 『春都さん、ありがとう。』 この、“ありがとう” には ここ数日、あたしの実家に通って くれたこと。 それから、両親の前でいろいろと 宣言してくれたこと。 あたしと一緒にいてくれること。 あたしと結婚してくれること。 家族との蟠りを無くしてくれたこと。 全てに対してのお礼。 そして何より春都さんに出会えて 本当によかったと思うと この、“ありがとう” だけじゃ 全く伝えきれないと思う。 『俺は、何も。 俺の方こそ、素敵な家族に会わせてくれて ありがとう。 よかったな、お母さんと和解できて。』 『うん。 あたし自身も誤解していた部分が あったと思うんだ。 でも、お母さんの本音を聞けて 今になってやっと、親子っぽい会話が できた事が嬉しくて。』 『お母さん、言ってたんだ。 あの子の意地っ張りは自分に 似たんだって。 笑った顔もそっくりだけどな。』 そう言って、笑っている春都さん。
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