第20章(最終章~)

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『結月チ…あ、新川チーフ。あは。 また間違えちゃった。 もう、チーフ、新川バイヤーの奥さんとか 羨まし過ぎですよー。』 6Cに入ってきた加賀美ちゃんは、 あたしが入籍報告した時から ずっとこんな感じで…… 『もう、何回言ってるのそれー。 で、どーしたの?』 冗談でも自慢したい気持ちは山々なのに 結婚しても今は側に居るわけでもない から、自分だけが虚しくなるのを避けて 最近は軽くスルーする事を 覚えたあたし。 『あ、そうそう。 最近、チーフ元気ないじゃないですかー、 だから今夜一緒にご飯食べに 行きましょうよ。あたしと、 あと、美和子先輩と。 話しなら聞きますよ?女子トークなら チーフも気兼ね無く話せますよね?!』 そう言って目をキラッキラにして 話す加賀美ちゃんに、 もちろん断る理由もなくて。 どうせ家に帰ったところで 今夜も一人なわけで。 『うん、いいよ。行こう!』 あたしはそう言った。 『今夜はちょっと豪華に、 ホテルのビュッフェなんです! 美和子先輩が臨時収入が入ったとかって 今日は美和子先輩のおごりなんです! じゃあ、就業後、ロッカールームで 待ち合わせでーす。』 そう言って6Cから出て行く加賀美ちゃん。 美和子の臨時収入元が気になるけど…… 最近ずっと一人だったせいか、 たまには、そんなのもアリかな?なんて。 そう思いながらパソコンで 在庫の整理を始めた。
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