第20章(最終章~)

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久し振りに帰って来た 我が家。 外見は何一つ変わっていない。 相変わらず、緑に囲まれていて 空気がおいしい。 同じ東京なのに、こんなにも違うんだと 思ってしまう。 なんせ、この土地を離れてから10年以上。 もう、何年も帰って来ていなかった為か 久しぶりすぎるにも程がある。 『いい所だな、みのり。』 外の空気を吸ったからなのか 先程まであんなにため息しかついて いなかった春都さんが 深く深呼吸をしてからそう言って 今日初めての笑顔をくれる。 家族には、あまりいい思い出なんて なかった。 でも、幼少期を過ごしたこの場所を 大好きな人にもわかってもらえて 嬉しくないはずがない。 『うん。何にもない所だけどね。 いい所だよ、ココは。』 ここに来る途中、母親との不仲説を 春都さんに話したりもした。 母はあたしの事なんて、 どうでもいい筈なんだ。 ただ、世間体が気になるだけ。 変な噂が流れたりするのが嫌なんだ。 だから優斗は、本当に余計なことを してくれたなと思う。
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