第20章(最終章~)

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何だかんだ余裕そうな事を 言っていたけれど、春都さんの気持ちの どこかにはきっと、優斗が母に話した “不倫” と言っていた事が残っていて 彼自身も、触れて欲しくなかった事じゃ ないのかなぁなんて思う。 だから今回、こうして緊張しているのも それがあるからというのも無い訳では ないだろう。 『さぁみのり、行こうか。』 気持ちを固めたらしく、 そう言い放った彼にあたしは 優しく微笑んで頷いた。 築15年にもなるこの家は、 あたしが中学生の頃に建てた建物で 決して新しい訳でもないが だからって古ぼけた建物でもない。 玄関周りには母の趣味のガーデニング。 庭の端には、父がやっている家庭菜園が あり、生活感で溢れている。 あたし達は玄関の前に立ち、 春都さんはインターホンを押した。 中から聞こえる母の声。 玄関の扉が開き、軽く会釈をすると 無愛想にも『どうぞ。』と それだけを言って、あたし達を中に通す母 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ……………………… 和室に通され、中に入れば 父が胡座をかいて座っている。 これは間違いなく、険悪なムードだ。
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