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この和室に入り、いくらか時間が過ぎた。
あたし達は、テーブルを挟んで
両親と向かい合わせに座っている。
隣に座る春都さんの膝の上に置かれた手を
ギュッと握っているのを見れば
彼の緊張感が伝わってくる。
父は相変わらず、テーブルから
目線を動かさずにジッとしたまま
動かないし、母は父の隣に正座したまま
俯いている。
そして、ある程度の沈黙を破るかのように
春都さんが口を開く。
『初めまして。僕はみのりさんと
お付き合いさせて頂いております
新川春都と申します。』
そう言って、頭を下げた春都さん。
そして… 本題に入ろうとする彼を遮って
『娘を…………よろしくお願いします。』
そう、言ったのは紛れもなく
あたしの父で…
まさかの発言に驚き
正面に顔を向ければ、
その隣にいる母まで、頭を下げている。
………え?
だってまだ春都さん、自己紹介しか
してないよ?
それに、、、アノ、誤解を解くことも。
全く理解できない、この現状。
隣を見れば、春都さんですら、
何が起きているのかわからない状態。
『……お父…さん?』
そう、あたしが声をかけると
下げていた頭を上げてあたしを見る父。
そして……
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