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それからお母さんは台所に行き、
料理の支度を始める。
それから、どうしてこうなっているのか
わからないまま、“みのり、手伝って”と
言われたあたしは、台所で
お母さんの手料理の盛り付けをしている。
『ねぇ、みのり。……ごめんね。
今更なのはわかってるの。
貴方が、私を良く想ってくれてないのは。
でもね、私は貴方の事、決して
邪魔だとか嫌いだとか思った事は
一度もないのよ。
……心ではわかっていても………
口にすれば酷い事ばかり言ってきたと
思うわ。みのりはそれが原因で
ココ(実家)に、寄り付かなくなった
事も。』
火にかけている鍋を温めながら
あたしに背を向けて、
恐らく泣きながら話しているであろう
お母さんの背中は小さく、小刻みに
揺れている。
………あたしは、こんなお母さんを
初めて見た。
二人姉妹だったあたしは、
いつも母に叱られていた。
理不尽な理由だと思ったこともあった。
__お姉ちゃんなんだから1人で
できるでしょ?
__お姉ちゃんなんだから、当たり前なの
____我慢しなさい。
____そんなコトも出来ないの?
そう言って、育てられてきたあたし。
何度、自分が妹だったらよかったのに‥
……と、思ってきただろう。
あたしは、この人にとっては
邪魔者でしかないんだ。
しっかりしていなきゃいけなくて
甘えることなど許されない。
この家に居ても自分が窮屈になるだけ。
そう思って、高卒後に家を出た。
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