第20章(最終章~)

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それから何度か帰ってくることもあった。 でも、 妹の結婚、出産で、お母さんは いっぱいいっぱいだった。 あぁ、やっぱりあたしは ココに帰って来るべきではなかったんだと 思い知った。 ……なのに、どうして今更 お母さんは、そんな事を言うのだろうか。 さっきの涙も、今の涙も あたしの為に流してくれているのだろうか あたしは何も言えずに、黙って 出来上がった料理をお皿に盛り付ける。 『かえで(妹)がね、今女の子二人を 育てているでしょ?』 出た、聞きたくもない、妹の話。 だけど、嫌だとも言えずに 黙って聞いているあたし。 『今、必死に子育てしてるのよ。 ………必死にね、必死になっていると 自分では気付かない内に、 子供を傷付けていることってあるのよね。 何気なく放った言葉ひとつで 子供の自信をなくしてしまったり 心に深い傷を、負わせてしまったり。 だけどね、自分は必死に子育てをして 毎日を過ごしていくでしょ? 息抜きしたくても、休みたくても 子育てに休みはないから… イライラもしてしまう。 お父さんは仕事で家にはなかなか居ないし ………… お母さんはね、ほんと、みのりには 酷いことを言ってきたと思うわ。 あなたに全てを当り散らして。 最低な母親だったと思う。 ‥‥ずっと、後悔してたの、心ではいつも 悪かったと思っていたの。 …でもね、どのタイミングであなたに 謝ったらいいのか、わからなかった。 家を出たあなたは、 なかなか帰って来ないし かえでの結婚出産で、ゆっくり話を することもできなかった。 もっと、みのりと向き合っていればって 何度思ったことか…』 そしてお母さんは振り返り、 あたしの正面に来ると…
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