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「あ、そ、そうっすよね、
あ、いえ、なんでもないっす。」
午後の授業が始まる少し前、
教室に呼び出しの放送が鳴った。
『3-A、斐山優一、3-A、斐山優一、
至急、職員室まで来て下さい。』
教室の視線は、
その綺麗な髪の生徒に向けられる。
クラス全員の目が緊張と好奇の色に染められていた・・・。
また何かやったのか・・・?
今度はどんなトラブルを・・・?
取り巻きたちは、
少し嬉しげに少年斐山を見下ろしていた。
彼らにしてみれば、
斐山の武勇伝が増える事は、
この上もなく愉快な事だからだ。
当の本人は、やれやれとでも言いたげに、
ゆっくりと席を立つ。
「シカトこいてもいいんだけど、
・・・卒業も近いし、ちょっと行ってくるか?」
「今度は何の件っすかね?」
「なぁに、心当たりはある、
ちょっぴり、センセーどもをからかってやったのさ。」
そして彼は少し口元に笑みを浮かべ・・・、
その教室を出て行った・・・。
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