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僕の言葉に陽菜岸が不満そうな顔をする。
「だって事実でしょ」
はっと驚いた表情をする。そして小さな声で言った。
「本当だ……」
「君たちは本当に面白いな。陽菜岸の答えも一つの解答だと私は思うよ」
にこやかに久乃が言う。視線は僕に向けられた。
「僕にはよくわからないよ。生きる意味とか考えている余裕はないからさ。今を生きているだけで精一杯だから」
ふふ。と久乃が優しげな笑みを浮かべる。
「それもそれでいいと思う。でも私は生まれてきた意味、生きていく理由が知りたいんだ。。二人と一緒にいるのは楽しい。でもそれは生きる目的じゃないし生まれてきた理由じゃない。私は何をするためにこの世界に生まれてきたのか。それとも私が生まれてきたことに意味なんて無いのか。生まれてきたことに意味がなければ私はどうしてここにいるのか。本当に分からないんだ。私は誰かに必要とされていたいんだよ」
やっぱり僕には難しくてよくわからない話だった。でも、生まれる前に父親を亡くし、久乃が産まれた時にお母さんが亡くなった久乃には思うところがあったのかもしれない。僕はそんな久乃に暗い顔をしてほしくなくて叫んだ。
「僕は今、この三人で一緒にいられることがすっごく楽しいんだ! これからも三人で色んな景色を見ていきたいと思ってるよ。今を一生懸命生きていればまた、こんな景色を三人で見ることができるよ!」
両手を広げて目の前に一面に広がっている銀世界を二人にアピールした。
「そうだね」
「そうだな」
二人の声が重なって返ってきたとき僕は嬉しくて仕方がなかった。だから、周りをよく見ていなかった。凍結した路面でスリップしたトラックが僕に突っ込んできていることに気が付かなかった。
陽菜岸がトラックに気づいて顔面を蒼白にさせる。トラックのクラクションが妙に耳に響いた。僕は驚きのあまりその場で立ち尽くし、正気を取り戻した時にはトラックは目の前に迫っていた。もう、駄目だ。そう思った時、僕の体は思い切り突き飛ばされていた。僕を突き飛ばしたのは久乃。僕と入れ替わるようにトラックに跳ね飛ばされたのも久乃だった。
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