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まるで生ける者は誰もいないのだと感じさせるほど静かな空間。
目隠しをされていても伝わる暖かい日の光。
手足は椅子に縛られて動かすことはできなさそうだ。
椅子の硬質な感触が直に伝わってくる。
どのくらいこの状態なのかわからないが手足の感覚が失われ始めていた。
それなのに伝わってくるどこか異質な冷たさ。
触れている椅子も、縛りつける布も、空気も。
「(なんで…………僕がこんなことに……)」
「あは」
「(!?)」
「やっと起きたんだね」
すぐ前に誰かいる!?
気づかなかった。
いや、目の前に人がいるのに気づけないなんてあるのか?
背中に悪寒が走る。
目隠しで姿は見えない。
いま前にいるであろう未知の相手が怖かった。
「問題です。私はいつあなたを捕まえたでしょうか?」
「……っ、あ、ああ」
恐怖で舌がまわらない。
開いた口からは情けない声だけが吐き出された。
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