一章 テロ事件

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 母さんから貰った地図を頼りに、俺は自分の通う学園に向かってるのだが、徒歩で歩ける距離ではあるが二〇分近く掛かるみたいだ。  もっと近いところが良かったけど、新しい環境を歩きながら覚えて行くのも良いと思った。 「ここが、俺の通う学園か……」  学園の門前に立ち、校舎の外観を見渡す。金持ちの学園なのか、とてつもなく広くてデカイ。どうとてつもないかと言うと、そうだな……広さは甲子園五個分位かな?  この地図からこの敷地を見るに、大体それぐらい広い。そして校舎は五階建てとそれなりに高いが、横に広い分デカイとアバウトに表現させられたてしてしまう。  どうやら、隣町の『人魔天精学院』と姉妹校にあたるらしい。そっちは学院なのに、こっちは学園か……姉妹校だとしてもそういうものなのか? 「まぁいいか。取り敢えず中に入って自分の教室と場所を確認するか」  学園の敷地内に足を踏み入れた瞬間、怪しげな男性が数人だが、門ではなく塀から敷地内に入っていくのを確認する。  目を合わすとヤバいと悟った俺は、瞬時に目を逸らして気付いてないフリをして校舎内に入る。 「まさかテロ……じゃないよな?」  有り得ない妄言をボソッと口にしながら、俺は怪しげな男性達を遠目でチラッと確認し、自分の教室を探しに行った。 「えーっと、ここかな?」  教室にたどり着くのに二〇分も掛かってしまった。どんだけこの校舎は広いんだ? 俺の通学時間と大差ねーじゃねぇか。 「あら? あなた……見ない顔ね?」  教室に入ろうとすると、横から女性に話し掛けられる。スーツ姿からして、ここの教師と言ったところか。 「どうも、今日からこの学園に転入した──」 「かまくら……ひでお君?」 「あ、はい……鎌倉です。後、よく間違えられますがひでおではなく『えいゆう』って呼びます」  この人、もしかして俺の担任になる人か? 初対面の人の名前を知ってるなんて普通おかしいからな。それとも、記憶喪失前に出会ってたとか……そんな訳がないな。  この人は俺の顔を知らなかったみたいだし、見ない顔だったからこそ分かったのかもな。この人の右手に持っている物はクラスの名簿なんだろう。  名前はそこから分かるし、担任になるからには上の人から俺の事を聞いていて知ってても不自然ではない。
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