一章 テロ事件

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「あら、失礼。それと待っていたわ。もうみんな集まってるわよ」 「もう集まってる……? そう言えば、ここに来るまで誰一人として生徒と出逢ってないな……」 「当たり前よ。みんな一時間前には既に集まって、教室で自己紹介とか始めてるんだから。もう終わってて今は教室待機中だけどね」 「え? あのー、今ってまだ八時過ぎですよね?」 「そうよ? それがどうし──そう言うことね。世間だと、どこの高校もこの時間帯はまだ登校時間だと思うけど、この学園は新年度だけ一時間早く登校することになってるのよ」 「つまり、俺は遅刻って事ですよね?」 「そうね、私と一緒ね」  この人も遅刻……だと? さらっとぶっちゃけてるが、この学園の教師なのにあるまじき失態だな。だからこの人もここに居るって事か。 「そうそう、転入してくる前にこの学園の資料が入ってて、そこに今日のことも書いてたと思うんだけど、見てなかったの?」  記憶喪失で昨日までの事を全く覚えてないとか言ったら、間違いなく痛い生徒だと思われてしまうだろうな。仕方ない、適当に謝って教室に入るとしよう。 「すみません。資料の事、見るのすっかり──」 「見れる訳ないんだけどね」 「は?」 「実はね、転入決定時にあなたの自宅に資料を送る予定だった私が、忘れてて送ってないの」 「何なんですか、あんたは」  この人、本当に教師なのか? てか、資料送り忘れたり遅刻したりで教師としての威厳が全く無い。もう教師辞めちまえよ……! 「じゃあ、みんなが待ってるわ。早く教室に入りましょう!」 「そ、そっすね……」  あぁ……何だか急に不安になってきた。既に帰りたい気分だ。 「はーい! みんなおっはよー!」  先生が勢いよく扉を開け、元気に挨拶をしながら教壇の前へ歩いていく。俺も続けて教室に入ると、中にいたクラスメート達が一斉にこちらを睨み付ける。  うわ、やっぱりこういう反応するよな。解ってはいたけど、これはかなり緊張する。恐らく、これから俺の自己紹介が始まって── 「さて、今日は新年度と言うことで──」 「ちょっと待って!? 何でナチュラルに始めようとしてるの!? 普通、ここで教師が転入生の紹介とかするもんでしょ!?」 「私、転入生じゃないから自己紹介しなくてもいいんだけど」 「俺のだよ!! 本当、あんたは一体何なんですか!? 馬鹿なんですか!?」
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