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先生の指差す方向には、空席と……如何にも不良ですと言わんばかり魔族が机の上で足を組んで座っていた。
制服のボタンは全開で、耳にはピアスまで付けている。髪は暖色で、魔族特有の赤い瞳が俺を凝視する。
髪型もツンツンとしており、何処を見ても攻撃的なスタイルだ。よりにもよってこんな狂暴そうな奴の隣で授業とか生きた気がしない。
落ち着け、奴を怒らせないように配慮すれば良いことだ。まずは席に着いて、宜しくって簡単な挨拶をしよう。よし……行くぞ!
「どうも、これから隣同士宜しく」
「あぁ? 何気安く話し掛けてんだ……ぶっ殺すぞ」
駄目だこりゃ。話し掛けても掛けなくても目の敵にされるって言う理不尽な流れだわ。取り敢えず、こいつとはなるべく関わらないようにしよう。
「これで全員の自己紹介が終わったわね。あ、そうだ! 鎌倉君は、私の事を知らないから一応自己紹介しとこっかな。私はこのAクラスの担任、マキナ・シルベスター。種族はエルフで、理数系の授業を担当よ。このクラスは、去年のクラスメンバーと殆ど入れ替わってないから、自己紹介も早く終わったんじゃないかな?」
ふーん、クラスのみんなからしたら俺以外は殆ど知り合いなんだな。新年度で進級と同時にクラス替えもする筈だから、お互い知らない人だらけでぎこちない雰囲気になるだろうに……通りでみんな親しく話し合ってる訳だな。
「では、今度こそ新年度の──」
その時だった。突然、何か結界のようなものがこの校舎を覆い尽くすように張られると同時に、耳をつんざくような爆発音が何度も起き、衝撃と震動が俺達を襲う。
唐突な出来事に、みんなは混乱するように悲鳴を上げながらその場でしゃがみこむ。中には、衝撃や震動で倒れたりしている者もいた。
「な……何だ!?」
やがて落ち着くとみんなが立ち上がり、校舎の外を覗き見る者と、廊下を見るものと分かれる。
「何だよ……これ!? 俺達以外の教室が吹き飛ばされてやがる!」
「おい! こっちは運動場や体育館が吹き飛んで火柱が立ってやがる!」
クラスのみんなが騒ぎ始める。俺もゆっくりと立ち上がり、無惨に割れた窓から校舎の外を見下ろすと、地獄絵図となっていた。
「みんな落ち着いて! 先生の言うことに従って避難するわよ!」
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