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マキナ先生が先陣を切って廊下から出ようとすると、重火器を持ったガスマスクの連中がクラスに入り込み、俺達を包囲する。
「な……何者なの!?」
「我々はギルド、『黒い爪』だ!」
奴らの中の一人がそう答えると、先生やみんなの顔が一気に真っ青になる。だけど、ギルドやら黒い爪が何なのか解らない俺は、首を傾げる事しか出来なかった。
「黒い爪……ですって!? そんな危険度Aの犯罪ギルドが、何でこの学園に!?」
「この学園は金を持っている。お前達は言わば人質って事だ。俺達は金が欲しい……豪遊する為の金がな!」
危険度Aって? 昨日までの記憶が無くて、全く新しい環境で新たな思い出を築き上げようとした矢先に、まさかの新年度早々で犯罪組織に狙われるとか、俺ってどんだけ運がねーんだよ!
「抵抗するなよ? すれば一人ずつ消滅することになる。このバトルフィールドは普通と違ってHPが零になれば消滅する。助かるには、俺達を全滅させるしかない。まぁ、そんな事不可能だがな!」
バトルフィールドとかHPとか、また訳の解らない単語が出てきやがる。そういや、俺達の頭上に数字が浮いてるけど……これがもしかして、HPってやつか?
「おい、お前」
背後から、声を殺すような音量で隣の席だった不良の魔族が話し掛けてくる。
「えっと……」
「ゼクス・ノーバディだ。お前、戦闘は得意な方か?」
「はぁ? こんな時に何言ってんだ!? 戦闘が得意かどうかは……」
「経験ねーのか?」
「いや、経験あるとか無いとかじゃなくて……その、どうだったか覚えてないと言うか……」
「ちっ! 使えねーな。お前が駄目となると、このクラスでまともに戦えるのは、あの先公とキモヲタエルフ位だ。他は腑抜け野郎共だからな」
「お前以外にも魔族が……って、まさかこの状況で戦うつもりか? そんな事したら、奴らに遣られるぞ!」
「魔族全員が好戦的って訳じゃねーんだよ。つか、黒い爪を知らねーのか? 奴等は人質を生かして返すような集団じゃねーんだよ。目的に応じても関わった連中は結局皆殺しだ。狙われた時点でもう人生アウトなんだよ……くそっ!」
おいおい、昨日までの記憶も明日からの思い出も何もないまま俺の人生ゲームオーバーとか、冗談でも笑えやしねーよ!
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