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どうせ死ぬなら玉砕覚悟で立ち向かってみるか? けど、無策で正面からぶつかっても返り討ちに遭うだけだし、何よりみんなも危険に巻き込んでしまう。
この状況を打破するには、敵を一気に制圧しなければならない。敵は四人……クラスのみんなが一斉に畳み掛ければ何とかなる人数だ。
だけど、みんなは完全に萎縮してしまって動こうとしない。明らかに恐怖に飲まれている。好戦的な筈の魔族もそれなりに居るのに、肝心な戦闘要因が機能しないとか絶望的過ぎる。
それ程までに、この黒い爪って犯罪組織がヤバいって事か……!
「可愛い女共を連れて行くぞ。後で玩具にして遊ぶんだからよ。そこの先生もだ」
「くっ!?」
マジかよこいつら……野郎は殺して女は連れ去るって事かよ。女に至っては殺されるよりも屈辱的で苦痛な未来しか待ってねーじゃんかよ。
何か武器になりそうな物は……駄目だ、筆箱の中にあるシャーペンか物差ししかない。こんなんじゃひのきの棒のがまだまともな武器だ!
「お前ら、動くなよ?」
固まっていた奴等が、バラバラになって教室の周りを歩き始める。目ぼしい女の子達を探しだそうとしているんだな。
バラバラになってくれたのはチャンスだが、こいつらを一撃で倒すか動きを止めなければ終わりだ。もしくは、奴らの武器を奪って無力化を図る手もあるが、俺一人でやっても意味がない。俺一人で打開するのは不可能だ!
「おい、貴様……面白いネクタイをしているじゃないか」
あんなネクタイをしていたばかりに、黒い爪の一人に目を付けられてしまったか。名も知らないエルフよ、どうか安らかに眠ってくれ。後で俺達も後を追う事になるだろうぜ……
「見ろよ、通学鞄まで女の子のキャラをデコってやがる! 気持ちわりぃー!」
「おい……貴様」
「あ?」
「今……笑ったな?」
「何だ餓鬼? 刃向かうと早死に──」
「失せろ、害虫!」
「ぎにゃあぁぁぁぁぁっ!?」
ヲタクのエルフが相手の重火器に手を触れると、そこから強力な電撃が敵に流れ込み、HPを零にする。
「この糞餓鬼! ぐはっ!?」
「おい!? がはぁっ!?」
連中がヲタクのエルフを撃とうとすると、先生とゼクスが死角から強烈な攻撃を仕掛け、HPを零にする。すると、さっきの奴も含めて体が消滅していった。
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