四章 男嫌いの理由

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「おい、てめぇら」  ゼクスが鋭い眼光でこいつらを睨み付けると、さすがに怖かったのだろうかビクついて距離を取り始める。 「ななな……何だ!? お前は部外者だろ!」 「気になる事を言ってたから聞きてーだけだ」 「何を……だ?」 「腕に痣が出来たってのは……マジか?」  ゼクスは一体、こいつらに何を聞き出そうとしているんだ? そんなの、こいつらがイチャモン付けたいが為の嘘の口実だろ? 「あ、あぁ……そうだ。偶然、体育館前の水道で痣の出来た腕を冷やしてるのを何人か目撃している。丁度今朝、こいつが握っていたところだ」  まさか、作り話ではなくてマジなのか? こいつらがここまで嘘を吐く理由は無い。ましてや、ゼクスをからかったりするなんて考えられない。  あの時、アウロラさんを引き止めた際に腕を強く握ったつもりはない。こいつらの話が本当だとすると、ただ事ではないんじゃないのか? 「てめぇら、もう帰れ。あの女が、この男に腕を握られただけで痣が出来ると思うか?」 「そ、それは……アウロラさんは乙女と言っても屈強な魔族の肉体だ。人間に力一杯握られたとしても赤ん坊に掴まれる程度だろう……」 「要するに、全部勘違いだ。これ以上、突っ掛かって来るって言うなら……拳を突き合う運動でもするか?」  彼がそう言うと、押し掛けてきた連中はそそくさと教室から消えて居なくなる。ひとまずホッとして胸を撫で下ろすと、急にゼクスが俺の左肩を掴んでくる。 「何だよ?」 「お前なら、もしくは──」 「何の事だよ?」 「あの女が、近い内に相談しに来るだろうぜ」  あの女とは、恐らくセナさんの事だろうけど……ゼクスは何か知っているのか?  それに、アウロラさんの腕に痣か……前に男複数を同時に相手しても何の問題も無く撃退出来る力を持つ彼女に、痣が出来るような攻撃を与えられる奴がそんなに居るとは考えにくい。  ましてや、今はRPGシステムで守られてるんだから余計にだ。ドジで転けた時に強くぶつけたりした可能性もあるが、あの性格上は滅多にそんな失敗しないだろうな。  そして放課後、俺は帰る準備をしていると、セナさんが窓から廊下側で俺を呼びに来る。二人だけで話がしたいらしく、屋上に移動した。
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