四章 男嫌いの理由

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「解ったよ。俺に出来る事があるなら、是非やらせて欲しい」 「鎌倉君……」 「セナさんは、ゼクスにも相談出来ない事を俺に打ち明けてくれたんだ。アウロラさんが口にしたくても出来ない事を……君が代わりに伝えてくれたんだ。俺だって、仲間が傷付いてるなら助けてあげたい。だからさ、今は落ち着いて話をしてくれるか?」 「うん……!」  彼女は、自分のハンカチを取り出して涙を拭くと、深呼吸をした後にゆっくりと立ち上がる。セナさんが落ち着くまで、俺は少し夕焼けを眺めている事にした。 「もう平気だよ。ありがとう、鎌倉君」 「おうよ。それじゃあ、話を聞かせてくれ」 「アウロラはね……中学生の頃から父親が決めた男と強制的にお付き合いをさせられてるの。アウロラも最初から男性嫌いだった訳じゃなくて、ちゃんとお付き合いもしてたんだ」  アウロラさんからは、決められた人と嫁ぐ事になっているって話を聞いたな。やっぱり最初から、彼女も男嫌いだった訳ではなかったって事か。 「けどね、アウロラも人形じゃないし心もちゃんとある。だから、アウロラが気に入らなければ嫌だって父親には言ってたみたい。それもそうだよ……だって、いつも決まって相手はアウロラの体と財産しか見てなかった。ほら、あの子めちゃくちゃスタイル良いしね」  スタイルの良さなら、セナさんも負けてないと思うけど。身長はアウロラさんの方が高いから、あっちはモデルみたいだけど。  成る程……今まで付き合って来た男は、そんなろくでなし野郎ばっかりだったと。けどまぁ、あんな美少女と付き合えるなら、例え政略結婚だとしても男からしたら嬉しいよな。 「そうやって、色んな男と付き合ってると当然と言うか、男が信用出来なくなっちゃったの。これが、男嫌いになった理由なんだ」 「そうだったんだな。良かったよ、彼女の男嫌いの理由が知れてさ」 「けどね、前にも言ったけど……君に対してだけは、嫌悪感を抱かずにちゃんと接しられる。多分だけど、アウロラは鎌倉君の事を男の中で一番信用してると思う。ううん、絶対してる! ずっと隣にいた私だから解るんだ」  俺は最初、男嫌いって事を知らなかったからな。別に話すときも嫌な顔をされた事はなかったから気付かなかったが、そりゃあ俺と一緒に登校してるのを見てたら、周りの連中も珍しいと思うのも無理はないよな。
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