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「もう知らない。ゼクス君とは……もう絶交だよ」
「セナ……」
アウロラさんの問題以外にも、大きな問題が目の前で生まれちゃったんだけど、どう収拾したら良いのか皆目検討も付かないんだけど……
俺が思考を巡らせてると、ネールが冷や汗を掻きながらも彼女の前に立ち、その場で土下座を始める。
「こ……こいつは悪くない。全て僕の好奇心が招いた事だ。殴るなら……僕を殴ってくれ」
「ネール!?」
「お前……!?」
「ネール君……何でこんな真似を?」
今にも泣き出しそうな自分を必死に殺しながらも、ネールに真意を問うセナさん。ネールは顔を上げ、暫く沈黙した後ゆっくりと口を開く。
「君とゼクスは……何て言うか、友達以上の関係だと個人的に解釈していた。恋人ではないが、それ以上だと……家族に近いって言うのかな?」
「えっ……?」
「だからその、君と鎌倉が最近仲が良いから、ゼクス推しな僕としては気になってて……そして今日、二人だけで大事な話をするとか言ってたから、まさかと思ってこの男の襟に盗聴器を付けて……」
俺は襟を手で触ってみると、確かに盗聴器らしい小型器具が取り付けられていた。いつの間にかこんな物を俺に仕掛けてやがったんだ?
「ななな……何を言ってるの!?」
「要するに、僕はゼクスとセナさんがお似合いだと言ってるんだ。鎌倉もそう思うよな?」
「えっ!? あーそうだなー! 実は俺も前からそう思ってたんだよ!」
そうか、こいつは二人がお似合いだって事を主張して空気の流れを変えるつもりだな! 実際、さっきまで殺気立ってた彼女も頬を赤らめて明らかに動揺している!
「それに、僕達も話を聞いてしまった以上、この件を無視する訳にはいかない。協力出来ることは、惜しまずやるし、会長にはこの話を聞いた事がバレないようにする」
「俺もだ。最悪、鎌倉から聞いたと言って、全てこいつが悪いことにする」
「おいこら、ちょっと待て」
「それにな、セナ……お前がずっと一人で悩んでるのを、俺は知ってる。それが、俺に相談出来なくて余計に苦しんでるのもずっと見てきた。だからよ……最悪な形だが、お前を苦しめてる悩みを聞けて良かった。俺の事を嫌ってくれても構わねーけど、俺とお前はずっと隣に居たんだしよ……」
「ゼクス……君」
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