四章 男嫌いの理由

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 二人が夕陽をバックにして見つめ合ってる中、ネールが少し離れた場所で俺に向けて手招きしていた。俺も近くに居るのが少し気まずかったので、仕方なく奴の近くまで歩み寄る。 「何だよ?」 「今から僕と、リア充ぶち殺す会を立ち上げないかい?」 「急にどうした」 「他人の幸せって、凄く不愉快だろ?」 「心底屑だな」  しかしあれだな……何だかんだ言っても、結局はこの面子で問題と対峙する事になるんだな。正直、こいつらは頼りになる。  テロリストや理事長の件も、ゼクスとネールが居るだけで心強かったしな。だけど、今度はこれまでのとは違った困難だからな…… 「鎌倉君、ネール君!」 「うん?」 「明日また、ここで集まって作戦会議をしよう!」 「良いんだけど、セナさん……俺達で本当に、アウロラさんを助けられるのか? 大財閥と裏の権力の婚約をぶっ潰すなんて、やっぱり無理があると思うんだが……」  今更になって、また畏れてしまう自分がいる。何度考えても、どうにか出来るとは思えない。だけど……セナさんは諦めていない。最悪の場合、ローレライ家とニールバレット家の間に亀裂が入るかもしれないのに、彼女は諦めようとしていない。 「この学園を救ったヒーローが、そんな弱気になってどうするの? 私は、君なら必ずアウロラを助けられるって信じたから頼んだんだよ?」  ──そうだよな。セナさんは、大切なものを失う覚悟でアウロラさんを救い出そうとしている。そして、俺を信じてくれているから頼っているんだ。だったら俺は、畏れている場合じゃないよな。 「ごめん、セナさん。俺、ビビってたんだよ……けどもう決めたぜ。ゼクスとネールも手伝ってくれるなら、上手く行きそうな気がするしな!」 「うん、頑張ろうね! あ、ゼクス君とネール君は、アウロラを助けたときの祝宴会を考えといてね」 「はっ?」 「どうして?」 「勝手に人の話を盗み聞きした罰だよ。私、許した訳じゃないもーん」  やっぱりそこは許さないんだな。まぁ、このような二人が悪いんだろうけど……特にネールがな。  明日からは、本格的にアウロラさんを救う作戦を立てて、そして近い内に必ず救い出す。それが、彼女にとって良いことどうか解らないけど、俺達は救われる事を強く願った。  
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