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「その種は要らないわ。折角創った私の美しい球体のバランスが崩れちゃう」 「こちらも要らないなあ。それにガスで創り上げたんだ。それは育たない」 「やだね、そいつは要らない。余計な面倒が増えるだけさ」 兄弟姉妹が口々に与えられた命の種を拒否する中、一番幼い彼はその種を大事にそっと自らの創り上げた球体の中心へと埋め込んで見た。 単純な興味も有ったし、誰も種を育てないのは寂しく思えたから。 『自分の世界を創り上げてごらん』 そう言われて、皆で辺りに漂う物質を競う様にかき集めて創り上げた、それぞれの球。 一つでは飽き足らず、小さな球体をついでに創って配置した者も居れば、細かな岩石や氷を薄い円盤として自らの球体に飾り付けた者も居る。 中には早々に飽きて、集めた材料をばら撒いて去ってしまった者も。 幼い彼は小さな手で材料を懸命にかき集め、誰よりも丁寧に美しくと願いながら球体を創り上げた。それから数名の兄弟姉妹がした様に、一つでは寂しそうに見えた球体の傍らに、もう一つの小さな球を配して見た。 驚きを皆に与えたくて、より複雑に丁寧に。命の種に必要だと教えられた水は、表面の半分以上を覆う程に沢山用意して。
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