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なのに、生じた命は退屈で。
どいつもこいつも、水底に張り付いているだけ。
でも、それでも良かったのだ。変化の少ない球体を創り上げた兄弟姉妹が飽きて、瞑想に浸る中、幼い彼は自分の創り上げた球体を興味深く観察し続けた。
水の中に生じた命は、バランスを危うくも保ちながら共に繁栄を続けていたから。
そして彼等は時間の経過と共に、より複雑に精緻に変化して行く。
ふにゃふにゃで海底に張り付いているだけの平たい命が、脊索を持ち、球体の半分以上を覆う水中を不恰好に泳ぎ出した時。
身体の外側を覆う硬い鱗を持った時。
水を掻くだけの鰭が、指を持ち大地を踏み締めた時。
羽を広げ、支えなき空にまで飛び出した時。
全てに感動した。
命は、種は、何て素晴らしい変化を遂げて行くのだろうと。
ただし、これこそ最高だと思った生命体の愚かさを見るまでは。
今までの生命体の様に毛皮も持たず、鋭い爪も牙も毒も身に付けず、何よりも弱っちい成りをしていながら恐るべき適応力で球体上に繁栄する生命体。
二本の脚で立ち歩き、爪や牙の代わりに道具を作って、本来なら勝てない相手を狩る生物。
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