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あっと言う間に増えて、同じ仲間内での醜いいさかいを絶えず繰り返す馬鹿げた命。
互いの、ほんのちょっとだけの違いで憎しみ合う矮小な命。
言語、考え、肌の色。全てが戦いの火種になった。
騙し、盗み、嘘を吐き、己の幸せしか考えない存在。
球体の上で争う、ちっぽけで我儘過ぎる命の在り様に傷付いて悲しくて。
幼い彼は泣きながら呟いた。
「もう嫌だよ。もう我慢出来ないよ」
だからもうやめてやる! と、こんな球体を育てるのは終わりにしようと、沢山の涙を止めどなく零して泣きじゃくった。
何処か自分達に似ている姿を愛おしいと思ったのだ。
その丸く優しい爪しか持たない指先で、紡ぎ上げる織物や作り上げる多くのものを可愛らしいと思ったのだ。
他の命を、植物を、動物を育てる姿を健気だと……。
なのに、その命は増える程に醜さを増した。
「君達は勝手過ぎる。君達は多くを欲しがり過ぎる。君達は他の命を蔑ろにし過ぎる」
呟きと共に滴り落ち行く涙は、絶望と共に球体の上を果てしなく覆って行く。
そこに繁栄する命達を数限りなく巻き込み滅ぼして。
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