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私はムシャクシャした気持ちのまま、帰り支度をする斎を玄関先まで送る。
斎は私の顔を見て、呆れたように肩を竦めた。
「まだ怒っているのか?」
「あのねー、怒らせた張本人が何言ってんのよっ」
「俺は別に怒らせるようなことはしていない」
「…」
ま・あ・ねっ!!
斎にしてみれば、髪についてた埃を取ってあげただけだもんね!
その過程に問題があるとはいえ。
…私が勝手に、死にそうなほどドキドキしただけだ。
だからこそ、よけいに腹が立つのだけれど。
「今日はありがとっ。おやすみっ」
そう言って、背を向けようとした。
でもその時、斎の声がして、その言葉に私は立ち竦む。
「まだ答えていなかったな」
「…?」
私は訝しげな表情で斎を見上げた。
斎の表情はといえば、何を考えているのか読めない。
「答え…?」
「写真だ」
妬いたかと私が尋ねたことへの答えだ、と思い当たる。
私はその答えを聞きたいような、聞きたくないような、そんな複雑な思いで斎の答えを待った。
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