scene.10

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私はムシャクシャした気持ちのまま、帰り支度をする斎を玄関先まで送る。 斎は私の顔を見て、呆れたように肩を竦めた。 「まだ怒っているのか?」 「あのねー、怒らせた張本人が何言ってんのよっ」 「俺は別に怒らせるようなことはしていない」 「…」 ま・あ・ねっ!! 斎にしてみれば、髪についてた埃を取ってあげただけだもんね! その過程に問題があるとはいえ。 …私が勝手に、死にそうなほどドキドキしただけだ。 だからこそ、よけいに腹が立つのだけれど。 「今日はありがとっ。おやすみっ」 そう言って、背を向けようとした。 でもその時、斎の声がして、その言葉に私は立ち竦む。 「まだ答えていなかったな」 「…?」 私は訝しげな表情で斎を見上げた。 斎の表情はといえば、何を考えているのか読めない。 「答え…?」 「写真だ」 妬いたかと私が尋ねたことへの答えだ、と思い当たる。 私はその答えを聞きたいような、聞きたくないような、そんな複雑な思いで斎の答えを待った。
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