scene.10

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ゆっくりと、斎の唇が動く。 「動揺した…と言うのが近いか」 「…」 その言葉を聞いて、私は思わず笑ってしまいそうになった。 だって! ……それって、まさに妬いたってことになるんじゃないだろうか? それをそのまま素直に言わないところが、斎らしいといえばそうなのだけれど。 「ふぅ~ん」 「…」 斎は私から顔を逸らす。 それを見て、自分でも現金だなーと思いつつ、笑みを隠すことができない。 勝手に怒ってるんだから、放っておけばいいのに。 それをしないでくれたから。 それも、嬉しくてたまらない。 「斎、今年の年末年始は、蘇芳館のメンバーとは別って言ってたよね?」 尋ねると、斎はあぁ、と言って頷く。 「舞は…」 「今年は、私も友達とは別なんだ」 ここまで言えば、察しのいい斎のことだ、私が何を言いたいのか即座にわかってくれるはず。 案の定、斎は苦笑すると、私に待ち合わせ時間を尋ねてきた。
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