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ゆっくりと、斎の唇が動く。
「動揺した…と言うのが近いか」
「…」
その言葉を聞いて、私は思わず笑ってしまいそうになった。
だって!
……それって、まさに妬いたってことになるんじゃないだろうか?
それをそのまま素直に言わないところが、斎らしいといえばそうなのだけれど。
「ふぅ~ん」
「…」
斎は私から顔を逸らす。
それを見て、自分でも現金だなーと思いつつ、笑みを隠すことができない。
勝手に怒ってるんだから、放っておけばいいのに。
それをしないでくれたから。
それも、嬉しくてたまらない。
「斎、今年の年末年始は、蘇芳館のメンバーとは別って言ってたよね?」
尋ねると、斎はあぁ、と言って頷く。
「舞は…」
「今年は、私も友達とは別なんだ」
ここまで言えば、察しのいい斎のことだ、私が何を言いたいのか即座にわかってくれるはず。
案の定、斎は苦笑すると、私に待ち合わせ時間を尋ねてきた。
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