scene.10

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「何時頃、迎えに行けばいいんだ?」 「え? 迎えに来てくれるの?」 「…夜中に一人で外に出るつもりか、お前は」 実はこれまでそうでした…とはとても言い出せない雰囲気で、私は何とか笑って誤魔化す。 斎は呆れつつも、さっさと待ち合わせ時間を決め、迎えに行くまで待っていろと、私に釘を刺した。 「初詣、二人で行くのって初めてかも?」 「そうだな」 小学校の頃はよく一緒に行っていたけれど、もちろん親も一緒だった。 中学からは、お互いの学校の仲間と行っていたので、考えてみると二人きりは初めてで。 年が明けてすぐに年始挨拶のメッセージは送っていたけれど、来年はそんな必要もなくて。 そんなことを思うと、少し心がくすぐったい。 「迷子にならないように気をつけろよ」 斎の声がして、私はすぐさま唇をとがらし、斎の顔を見上げる。 「もう高校生なんだし、迷子になんてなりません!」 「どうだかな」 からかうような口調にムッとしながらも、これはポーズだ。 本当は、嬉しくてたまらない。 一緒に初詣に行っていた頃、迷子になりそうな私の面倒を見てくれたのは、いつも斎だった。 溢れかえる人込みの中、手を引いてくれた。 「斎が面倒見てくれるんだから、迷子になんてならないよ」 「…」 そう言うと、斎が呆れて息をつく。 面倒なんてみないと言ってみたところで、それが嘘であることなんてバレバレだ。 斎はそういう人なんだから。 きっとまた、迷子になりそうな私を見かねて、手を引いてくれる。 斎はどうなのかわからないけれど、私はあの頃とは全く違う気持ちで、また斎を頼りにするのだろう。
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