scene.10

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斎を見送った後、私が玄関に入ると母親が待ち構えていた。 ……今度は何? 「二人が部屋を掃除してるのを見てねー、お母さん、嬉しくなっちゃったわよ」 「はぁ? なんで??」 そう言えば、私の部屋を二人で掃除している様子を見て、上機嫌になってたっけ。 なんだったんだろう? 「家の大掃除してる姿がね、まるで新婚さんみたいで~」 「は…はっ!?」 「だって、手が届かない所は斎君がやって、あんたはその傍でまた別の片づけやってて」 「…」 何想像してんのよ、おかーさんっ!!! 私はパクパクと金魚のように口を開けて、呆然と自分の母親を眺めていた…。 ……初詣、斎と二人で行くなんて言おうものなら、また舞い上がって訳のわからないことを言い出しそうだ。 私はそれを見越して、早々に自分の部屋へ戻る。 部屋に戻った途端目に飛び込んできたのは、倒された写真たて。 少し笑って私はそれを手にし、机の引き出しの奥に片付けた。 「あいつ、怒ろうかと思ったけど」 あいつとは、もちろんこの写真を無理やり飾った友達のこと。 写真の中で幸せそうに笑う彼女。 「…これじゃ、怒れないよね」 ポツンと呟いて、私はベッドの上にゴロンと横になる。 目を閉じてみても、とても心は落ち着きそうにない。 大晦日の夜を思い、私はしばらく胸の高鳴りを抑えることができずにいた。
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