鬼の競争

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 景子は汗だくになりながら、かれこれ一時間半も敷地内をグルグルと走っていた。  ゴンタロウによれば、《韋駄天》は燃料切れになるのが早く、あと三十分でエンストするという。  「がんばってください! もうすぐです!」  「わ、わかったわよ!」  とは言うものの、もう景子はフラフラだった。  ゴンタロウの電動アシストがなければ、スタミナ切れを起こしているところだ。  景子には暴走した理由がわかっていた。  (こいつ兵器をやめたんだわ)  なぜなら《韋駄天》の内部には一羽のウサギを入れた籠が入っていたからだ。  これは電磁装甲の性能を試すために、どのような影響が乗員にあるか調べるためだが、《命を優先する》というプログラムが邪魔をして、《韋駄天》はウサギを守るために、あらゆる任務を放棄したのだった。
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