0人が本棚に入れています
本棚に追加
景子は汗だくになりながら、かれこれ一時間半も敷地内をグルグルと走っていた。
ゴンタロウによれば、《韋駄天》は燃料切れになるのが早く、あと三十分でエンストするという。
「がんばってください! もうすぐです!」
「わ、わかったわよ!」
とは言うものの、もう景子はフラフラだった。
ゴンタロウの電動アシストがなければ、スタミナ切れを起こしているところだ。
景子には暴走した理由がわかっていた。
(こいつ兵器をやめたんだわ)
なぜなら《韋駄天》の内部には一羽のウサギを入れた籠が入っていたからだ。
これは電磁装甲の性能を試すために、どのような影響が乗員にあるか調べるためだが、《命を優先する》というプログラムが邪魔をして、《韋駄天》はウサギを守るために、あらゆる任務を放棄したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!