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息を整え、普通を装ってドアを開けると管理人らしき老人と別にスーツ姿の男が2人立って居た。
「あの、田畑早苗は今外出中でして……」
「あんたは?」
「田畑早苗の友人です 。何ですか?」
俺の問いかけに、管理人の後ろに立っていた男性の1人が胸元から警察手帳と写真を取り出した。
「裏の公園でこの女性のバラバラ遺体が発見されました」
「これは……!」
手渡された写真に写っていたのは、麻里だ。
「この女性と歩く姿と、ホームセンターでノコギリやハンマーを購入する田畑さんが店の防犯カメラに写っていまして。少し、事情をお伺いしたいのですが。田畑さんはいつ頃戻られますか?」
どういう事なのか、混乱する頭で言葉を探していると、クローゼットが大きくガタンと音を立てた。
「大丈夫ですか? 」
刑事に促され振り返ると、クローゼットが開いた拍子にホームセンターの袋が倒れ、汚れがこびりついたノコギリと茶色く変色したタオルが飛び出ている。
その横には、目を見開き俺を見つめる屍体が倒れている。
「……ご同行願います」
刑事の硬い声の向こう側で
「愛してる」
と、早苗の声が聞こえた。
終
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