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「お彼岸が近付くと、いきなり咲いて、本当に不思議な花だね。彼岸花は発芽から一週間で花を咲かせるのさ。
昔は死人花や地獄花なんて呼び方もあって、不吉なイメージだけど綺麗な花だと思わないかい?」
そう言われて修平が彼岸花を見つめた。
特に花への興味は無いが、この鮮やかな赤は好きな色であるし、放射線状に伸びる花弁が花火や宇宙的な広がりを連想させた。
「俺はこの花好きだよ」
ひな乃が微かに微笑んだ。
「この花は毒があるからね。土葬だった時代は動物よけを兼ねてお墓に植えたのさ。
でも知ってるかい?彼岸花は飢饉の時の食糧でもあったんだよ」
「食糧?毒があるんだろ?」
「水溶性の毒だから洗えば消えちまうよ」
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