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「修平。料金は幾らだ? いつもの五万で良いか?」 病室の廊下に出た所で銀縁眼鏡の男が尋ねた。 年の頃は三十代後半。高級スーツに身を包み、一見インテリ風な風貌だが、堅気にはあるまじき暴力的なオーラを漂わせている。 修平と呼ばれた細身の男は、真っ赤に染めた髪の毛を逆立てて〈 PUNKS not DEAD 〉とプリントされたTシャツの上にヒョウ柄のエプロン姿。赤いチェックのボンテージパンツの腰元にはホルダーに入った花鋏をぶら下げていた。 修平はパンクな服装も相まって、かなり若く見えるが年齢は三十三歳。整った顔立ちには似合わないミントグリーンの伊達眼鏡の所為で、とぼけた印象である。 「ああ、そんなところだが……」 そう答えて修平が言い淀むと、側にいたチンピラ風の若者が口を挟んだ。 「五万!? 相変わらず、俺達ヤクザ以上に吹っ掛けるねぇ!」 ギロリと修平がチンピラ風の若者を睨んだが、若者が更に続けた。 「今日の花の原価は幾らだよ?彼岸花なんて縁起でもねえ花持って来やがって、どうせその辺から取って来た花だろ?」 「川本、黙れ! 五万と言う金額は親父が修平と交わした契約。それに彼岸花は親父のリクエストだ」 「でも、椎名さん……」 不満げに口ごもる川本に、修平がミントグリーンの眼鏡を外しながら言った。
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