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修平が白岩と出会ったのは、修平が花屋の手伝いを始める少し前の事だった。
修平が狂犬と呼ばれていた時期であるが、それは修平の妻の晴美が他界した事が原因である。
二人に子供はなく、修平は悲しみの中で呆けたように毎日を呆然と過ごしていた。
悲しみは時と共に薄れる。
周囲の者にそう言われたが、三回忌を終えてなお消えぬ悲しみに修平は絶望していた。
次第に修平は酒を飲んでは暴れるようになったが、それは誰かを傷つける事で、修平にとっては不条理とも言える妻の居ない現実を忘れたいと言ったものではなかった。
誰かを傷つけたかったワケでは無い。
修平は自分自身を傷つけたかったのである。
誰かに滅茶苦茶に殴られて、悲しみや絶望が吹き飛ぶような惨めさで現実を忘れたい。
のたうち回るような痛みで、心の傷みを消し去りたい。
それが修平の望みだったが、修平が強すぎるが為に誰も修平の望みを叶えられなかっただけの話だった。
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