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それから三カ月、義務のためのルーティーンに追われ、週一のオフ日も、彼がスタジオに通う曜日と噛み合わず、彼に対する想いと焦りばかりが募った。
目の粗いヤスリで削り取られていくように、じりりと心が磨り減っていく。
「ハル……大丈夫? 最近、輪をかけて変だけど」十五年の付き合いで初めて直ちゃんに心配される始末で、「……疲れてんじゃない?」
「んー」
「ねえ、ハル。今までずっと突っ走ってきたんだから、ここいらでちょっと休んでもバチはあたらないと思うけど」
「んー……」
「……一発ヤラしてやろうか?」
「んー、じゃあパイズリだけでいいや」
「…………」
「痛っ! やめっ! 痛いって! ちょ、直ちゃん無言で殴り続けるのやめて!」
彼が県内に住んでいたとして、そうしてその道で一流を目指すなら、学業の負担が少ないこの高校に来るだろう。もし、彼が他の高校に行くならば縁がなかったのだと、諦めようと心に決めることでようやく精神を保っていた。
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