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新入生がパラパラと登校してきた。
親と一緒に来る子、友達と一緒の子、ひとりで来た子、真新しい制服に身を包み、あどけなさの残る顔を、緊張や期待に高揚させて門を一歩一歩進んでくる。
新入生は門のところでクラス分けが記させたプリントを受け取り、自分のクラスを確認した後、クラスごとの受付で登校を確認し、胸に差す花を渡される。
初めのうちは、門をくぐる子の顔を全員識別できていたが、時間を追うごとにどんどん増え、そのうち受付の前に人だかりができ、整理誘導して行列になった。
名前を言われて、名簿にチェックし、「入学おめでとう」と花を渡す。一人終えるごとにどきどきする心臓が少しずつ膨張して、今にも半径三十メートルを巻き添えにして大爆発しそうだ。
「戸倉晴都です」
言われて、瞬間、顔を上げた。呼吸が止まった。膨張し続けていた心臓が、ぎゅううと萎縮した。
色白のキレイな顔は数ヶ月前より男っぽさが増し、身長も少し伸びただろうか。俺よりもデカそうだ。しかし、線は細い。この細さでしっかり地に足がついているように見えるのは、ダンスや格闘技をしているからなのだろうか。
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