Halt(Japan)

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「すごいな、直ちゃんの着拒スキルが日増し向上している……」  えーなになに、とクラスメイトが顔を寄せてくる。 「今度はなに言って直子嬢を怒らせたんだ?」 「レース前後に一発させてって頼んだだけー」 「だけって」元春(もとはる)おまえなー、と呆れた顔で肩を叩かれる。「怒られて当然だろ」 「なんで、俺と直ちゃんの仲だよ? レース前後っていてもたってもいられないくらいムラムラしない?」 「ムラムラに関してだけは、わからなくはないけど」と、ムエタイ日本代表は語る。「俺はあえて発散しない選択をする。案外、集中力が上がるもんだぜ。そのかわり、試合後は性欲が振り切ってヤバいことになるけど、まあ試合に勝てば結果オーライだしな」 「じゃあ、レース後だけでもって直ちゃんに頼んでみるよ」  直ちゃんのクラスまで直談判(じかだんぱん)しにいこうと立ち上がりかけたところを引き戻される。 「まてまてまて、早まるな元春(もとはる)。また殴られるぞ。顔面はお前の数少ない長所なんだから大事にしろ」 「えー? 気心しれていて、(なお)かつ後腐れない直ちゃんで俺は心身を正常に戻せるし、直ちゃんにしても、その辺のわけわかんない男でバージン散らすより、サクッと俺としといたほういいのに」 「……わけわかんない男はお前だよ、元春」
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