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あれから4年。今頃、幻也はどうしていることだろう。
勿論、まだ生きていればのことだが・・・。
双伍は玄田元禄の養護院の布団の上で、思った。
しばらくして双伍は腰巻の中から、一枚の葉を取り出す。
それを口に含み、草笛を吹いた。
それは何かの子守唄のようだった。
双伍がまだ、物心もつかぬ頃に聴いた子守唄。
それを聴かせたのは、顔も知らぬ母なのか、それとも・・・。
ふいに玄田元禄の声が、草笛を吹き続ける双伍に
投げかけられた。
「双伍さん、草笛はおやめなさい。
傷に悪いですよ」
それでも、双伍はどこかもの悲しげな子守唄を
吹き続けていた―――。
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