この想いは片思いにも似て

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どうしてこんなに好きなんだろう。 目の前に座る美弥をまじまじと見つめる。 すっぴんの顔は剥きたての茹で卵のように白くツルッとしていて、プルンとした唇は赤い。 綺麗な弧を描いた眉毛や長いまつ毛を見れば、彼女には化粧なんか必要ないと思う。 一見、地味に見えるのは盛っていないからであって、よく見ればシンメトリーな顔は美人と言ってもいいぐらいだ。 本人は少しぽっちゃりな体形を気にしているようだが、胸は結構大きいようだし、メリハリのある脚は色気さえある。 もちろん、美弥の容姿は彼女の魅力の一部だけど、惹かれる理由はもっと別のところにある。 美弥の内面の複雑さ。 飾り気がなくて、誰とでもすぐに打ち解けられる。 情が深くて、気配りができる姉御肌だから皆に頼られる存在。 よく笑って、よく食べて、一緒にいて楽しい。 最初は俺もそんな一面しか見えていなかった。 でも、頻繁に会うようになって打ち解けてきたら、別の面も見えてきた。 意外と寂しがり屋だったり、強がりだったり。 もっと知りたい。甘えてほしい。 そんな欲が出てくるころには、もうどっぷりと惚れていた。 奨学金で大学に通う学生は珍しくないご時世だが、美弥は”苦学生”と言っていいと思う。 大学には真面目に通っていて、ゼミにかなりの時間を拘束されている。 残りの時間のほとんどをバイトに充てているから、俺とのデートは週1回程度しかない。 違う大学とは言え、大学生同士のカップルにしては少ない頻度だと思う。 それを足りないと感じているのは、たぶん俺の方だけだ。 「うーん。」 ランチプレートを前に美弥が小さく唸った。 最近、こういうことがよくある。 「食べきれないなら、俺がもらうよ?」 「うん。じゃあ、お願いします。ありがとね。」 美弥のプレートと俺の空になったプレートを交換して食べ始める。 美弥は綺麗に食べる子だから、食べ残しを食べるのに抵抗はない。 むしろ、彼氏の特権みたいで嬉しかったりする。 「最近、食欲がないみたいだな。夏バテ?」 血色はいいけど、ちょっと心配になった。 「じゃなくて、たぶん胃が小さくなったんだと思う。」 意味がわからなくて、美弥を見つめた。 「食べる量、少しずつ減らしてるから。」 ちょっと恥ずかしそうに俯いた美弥を見て、やっと”ダイエット”という言葉が思い浮かんだ。
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