神様のいない日

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アルファだから、で、なんでも片付けられるわけじゃない。そんなことは、幼稚園児でも分かることだろうに。訝しむ目を向ける優真に、春人は冷笑した。 「俺はアルファで、あんたはオメガだ。どっちが上かってことくらい、あんたも分かるだろ。俺はあんたの悔しがる顔が見たかった。それを叶えるためにあんたを抱いて、何が悪いの」 それは、紛うことない春人の本心だ。 揺るがない表情と目の色にそれと知り、優真は愕然とした。 オメガが他から蔑視されるのは、今に始まったことじゃない。優真だって、オメガというだけでそういう目に遭い、友人は嘲る声を残して遠ざかっていった。 だから、今更そんな言葉に明からさまな傷を負ったりはしないけれど。悔しさも屈辱も感じないほど、落ちぶれてはいないつもりだ。
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