神様のいない日

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「あんたの発情期に当てられて、俺も発情しちゃったし。若干タガが外れてたとは思うけど、まぁ安心してよ。中に出すような、馬鹿な真似はしてないからさ」 「っ、そう言う問題じゃないだろっ」 パシンッと、小気味良い音が響く。春人の腕を叩き飛ばした優真は、理解出来ないと言わんばかりの彼に、伝わらない歯痒さで眉を曇らせた。 「なんで、そんな馬鹿みたいな理由で」 例えこれが恋人同士だったとしても、そんな理由で相手を好きにしていいわけがない。まして他人、それも名前すら知らなかった相手に、そんなこと。 優真は、うまく言葉に出来ない焦ったさに息を震わせる。小さく舌打ちをした春人は、気怠げに体を起こした。 「俺が、アルファだからだろ」 「……は?」 さも当然のような顔をして、春人は立てた片膝を抱え込む。裸の上半身で揺れる春人のネックレスが、日差しを受けて金色に光った。
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